実力店長はここが違う 田中コンサルティング事務所 田中司朗
売上好調の3つの要因

1.ロイヤルカスタマーの多さ
 青山本店はオープンして30年になり、10年も20年も通い続けるロイヤルカスタマーが多い。7割が常連客、3割が新規客である。この店が大好きでいつもファミリーで来店していた小学生がやがて大学生になり、現在はアルバイトで働いている、そんなスタッフがいるほど愛されている店なのだ。

2.シュラスコの圧倒的商品力
シュラスコとは、ブラジリアンバーベキューのこと。肉を塊のまま鉄串に刺し、岩塩のみで味付けして焼き上げる。パサドールと呼ばれるスタッフがお客様のテーブルにてサーブ。目の前でお好きなだけ切り分けて提供する(食べ放題)。
 肉の一番人気は「ピッカーニャ」(牛のお尻の部分の赤身)。牛1頭からわずかしか取れない希少な部位で、柔らかくて適度に脂がのっており、日本ではイチボと呼ばれている。
 また店内の中央には40種類のアイテムが並ぶ巨大なサラダバー・デザートバーを設置していて、自分でサラダを作る楽しみを味わえる。焼きパイナップルが人気だ。

3.最高のホスピタリティ
 「一人ひとりのお客様に対して、ホスピタリティあふれる最高の満足を!」というのが鈴木支配人の店舗方針。お客様から心のこもった「ありがとう」を言われるサービスを目指している。普通のサービスではなかなか感謝の言葉は言われない。鈴木支配人は、その日何回ありがとうと言われたかをスタッフに毎日聞くようにしている。

実力店長はここが違う 田中コンサルティング事務所 田中司朗
プロポーズ1年後の感動

 予約のお客様が7割以上のバルバッコア 青山本店では、予約時に目的を伺っている。誕生日や記念日、プロポーズなどが多い。
 ある時、プロポーズ予定の30代男性から予約が入った。どの席がいいか、どんなプレートにするかなどを考えて準備するのだが、プロポーズが成功するかどうかはわからないため、様々な状況に配慮した準備が必要だ。そのお客様は食事を終えた後に指輪を出してプロポーズし、見事成功。速やかに「プロポーズおめでとうございます」のプレートをお出しし、とても喜んでいただいた。
 1年後、そのカップルが予約なしで来店した。プロポーズ記念のお祝いらしい。鈴木支配人はもちろんそのカップルのことを覚えていたが、気づいた素振りは見せず普通にお迎えした。
 そして最後のデザートの際に「ハッピーアニバーサリー」のプレートを提供し、「ご結婚1周年おめでとうございます」と満面の笑顔でお祝いの意を伝えた。予約もしていないのに自分たちのことを覚えていてくれたのだと、そのカップルは感動で胸がいっぱいの様子だったという。
 感動のホスピタリティの瞬間である。飲食業は人を幸せにするビジネスなのだ。

実力店長はここが違う 田中コンサルティング事務所 田中司朗
「飲食への道へ導いてくれた人」

 鈴木支配人の主任時代に、20代後半のアルバイトが入店した。飲食店で働いた経験があって自分なりの考え方を持っていたのか、鈴木主任と意見が食い違うことも多く、反発されることもあったそうだ。だがさほど飲食業が好きでもなさそうで、将来的にもこの業界で頑張っていこうという気概は全く感じられなかった。その後、鈴木主任は別の店に移動し、そのスタッフを指導する立場ではなくなった。
 ところがそのスタッフは、やがて飲食業に真剣に臨むようになり、別の飲食企業に入社して、今では店長となっている。鈴木支配人とそのスタッフはそれからも度々会っているとのこと。ある時その人から、「最初はいろいろ意見の食い違いがありましたが、鈴木さんと一緒に働き、学び、飲食店の素晴らしさを教えていただいたことで、この業界でやっていこうという気持ちになりました。店長になれたのは鈴木さんのおかげだと感謝しています」という、嬉しい言葉をもらった。飲食業はまた、人を育てるビジネスでもある。

実力店長はここが違う 田中コンサルティング事務所 田中司朗
求めるのは「カシコイ」人

 鈴木支配人の面接における採用のポイントは、自然な笑顔、目線を合わせて話ができる、話す内容などだ。中でも一番のポイントは、人をどれだけ慮ることができるか(親切にできるか)である。
  ワンダーテーブルが人材採用の基準として求めるのは、以下のような「カシコイ」人だ。
  カ・・・感謝できる人
  シ・・・親切な人
  コ・・・好奇心がある人
  イ・・・飲食が好きな人
 新人スタッフに対しては、オリエンテーション後にトレーナーがつきっきりで徹底指導する。バスで100時間、徐々にお客様との接点を増やしていき、サーバーで200時間、教育にあたっている。

意見を言いやすい環境づくり

 鈴木支配人はどのようにしてスタッフとのコミュニケーションを図っているのか。ミーティングが一つのカギである。
 まずは営業前ミーティングでの情報共有。ランチ・ディナーの前に、ポジション、予約状況、お客様の食材アレルギーといった情報を確認し合っている。
 また、支配人と社員・アルバイトリーダーで方針の決定を行うストアミーティングでは、意見を言いやすい雰囲気に留意している。良いことも悪いことも言える環境が大事なのだ。
 昨年、ワンダーテーブルのアプリ会員制度がスタートした。この店の会員獲得数は社内トップクラスだ。「今日10件取れました」と報告するスタッフには、どうやって獲得したかも説明してもらい、それをみんなで共有している。

 今後の目標を鈴木支配人に伺った。「売上は上がっています。でも食材・人件費が高騰しているので、利益額を向上させたいですね。そしてバルバッコア事業部を作り、若い人が活躍できる場所をもっと提供したいと思います」と、熱い口調で語ってくれた。