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業態転換で売上好調、その4要因 |
1.おいしさとボリューム感
和食・洋食・中華と、毎日食べても飽きないボリューム満点のメニューがリピーターを増やし続けている。もちろん夜はやきとりメニューも充実し、人気である。さらに追加めしとして、唐揚げ50円、大餃子2個100円、焼き豚100円、コロッケ40円と、低価格のカスタマイズメニューをラインナップ。大人気となっている。この追加めしの原価は50〜80%。お客様に喜んでいただくための大サービス価格だ。
2.圧倒的なスピード提供
田中店長の店長方針は「圧倒的なスピード感」である。客数は平日のランチで140人、週末は200人越えの行列で、お客様をお待たせしないことが非常に重要となるため、スピード提供に徹している。
また、高温で速やかに料理に焼き目や焦げ目を付けて仕上げることができる電気式のサラマンダーが、スピード提供に一役買っている。
3.米のうまさ(店内精米)
みよちゃん食堂は米の味わいにこだわっている。店の入口に精米所を設け、毎日精米したての美味しい米を提供しているのだ。品種は「ひとめぼれ」。200人のお客様が訪れるランチタイムでも1度に3キロしか炊かず、何度も連続して炊く。1日に10回も炊くという。常に炊きたての美味しいご飯を提供できることが、売上好調の強い要因となっている。
4.元気・活気・笑顔の徹底
「元気・活気・笑顔」は扇屋から受け継いだ精神だ。賑わいのある大衆食堂にぴったりのスローガンのもと、スタッフ全員で活気に満ちた店づくりを実践している。
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店長の、ちょっといい話 |
みよちゃん食堂の客層は現場作業に従事する労働者やルート営業マンなどが多く、男性客が9割を占める。週末はファミリー客も多く、また夜は居酒屋としての利用も少なくない。そんなみよちゃん食堂の、お客様やスタッフとの「ちょっといい話」を田中店長に伺った。
1.「今日も来たよ」のお客様
とにかく常連客が多い。「今日も来たよ」という雰囲気で、会釈してお店に入るお客様が大勢いる。「今日も来てくれたのだなと思うと、毎日心がほっこりします」と田中店長。午前中に取材させていただいたのだが、11時前から続々と車が駐車場に入ってくる人気ぶりを目の当たりにした。
2.お母さん太鼓判の職場
この店に勤めているお母さんが、ここなら安心して働かせることができると、大学生のお子さんにアルバイトを勧めてくれるそうだ。お母さんが太鼓判を押す店。とても心強くて嬉しい話だ。
3.お客様が多いことがやりがい
客数が多くてランチはいつも行列だから、スタッフの仕事はいつも忙しく、決して楽ではない。それなのにスタッフはみんな生き生きとしている。忙しくて楽でないからこそ、やりがいや達成感をもって仕事に臨んでいるという。(お客様が多いこと、それが仕事への誇りになっているのですね!)
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店舗運営で気をつけていること |
田中店長が店舗運営で気をつけているのは、働きやすい環境づくりである。チームワークを高め、店の空気を良くすることを常に意識している。「そのために重要なのは、私からの毎日の声掛けです。ただの雑談も大切です」と田中店長は言う。仕事のことに限らず、いっぱい声を掛けることでその人の今日の体調を見たり、気持ちを押しはかったり、リラックスさせたり、励ましたりできるのだ。この実力店長シリーズでも何度か述べてきたように、「チームワークと雑談力は比率する」のである。
ES(従業員満足度)が、店への帰属意識(自分が店の一員であるという意識)に影響を与える要素について、次のような分析結果(影響度ランキング)がある。
1位 心身の健康(従業員満足度)
2位 仕事への誇り(従業員満足度)
3位 改善意識(従業員満足度)
4位 人間関係(チームの風土)
5位 適正な評価(従業員満足度)
(出典tenpoketの帰属意識影響度ランキングより)
1位から5位までのうち4項目が従業員満足度に関するものとなっている。従業員満足度が高ければ店への帰属意識も高まる。帰属意識が高ければ離職率は下がり、ES向上にも繋がる。また4位の人間関係も帰属意識に大きく影響する。店長の声掛けはスタッフに「店長がいつも自分のことを気にかけてくれる、自分は認められ、必要とされている、店長の雑談で自分の気持ちも店の雰囲気も和らぐ」といった影響力を与えているのだ。
この店はどのポジションに就いてもこなせるスタッフがほとんどである。どこでもこなせた方が本人も楽しく働けるし、店としての生産性も上がる。それは、全ての作業が1ヶ月で覚えられるよう明確なマニュアルが作られているからだ。 (男子学生も女子学生も、みんな定食が作れるのは素晴らしい。将来的にも役立ちますね)
田中店長は叱ることがほとんどないという。叱るのではなく、意見を言ったりアドバイスしたりする。ほめることも少ないが、たまにほめるとスタッフは非常に喜んでくれる。
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みよちゃん食堂の店名は、三芳町に出店したことに由来する。今後の出店も、その町の名をもとにして名付けられる。
取材に同席した業態改革支援担当の吉井武央取締役によれば、市街地の扇屋をみよちゃん食堂のように転換する計画とのこと。1号店であるみよちゃん食堂への期待は大きい。
田中店長の夢は、〇〇食堂をどんどん展開していくことである。遠方のお客様からも「私の町にも出店してほしい」とよく言われるためだ。
この、米がうまくてボリューム満点の新ブランドはどんどん増えると思いますよ。頑張ってください!
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田中司朗の実力店長はここが違う! |